【分析】『借りぐらしのアリエッティ』(2010)【映画】

【分析】『借りぐらしのアリエッティ』(2010)【映画】
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借りぐらしのアリエッティ [DVD]
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金曜ロードショーで「借りぐらしのアリエッティ」を観ました。
初見でしたが勢いで分析してみました。
(以下ネタバレ含みます)

作品ジャンルは「ラブストーリー」

ラブストーリーとして作品を見ていくと、構成がわかりやすいです。

  • 関係性について

まず、物語はアリエッティと翔の出会いから始まります。

小人であるアリエッティと、人間である翔は、お互いがお互いの存在に気付き、意識し、接触を試みようとします。
互いに惹かれあうベクトルが発生しています。

しかし、小人の掟として、人間に接触するのはもちろん、見られることは許されません。
アリエッティは翔に見られてしまい、関わりを持たれようとしてしまいました。
これにより、アリエッティ家族は引っ越しせざるを得なくなります。

つまり、出会った瞬間に別れが約束されてしまっているわけです。
ロミオとジュリエットしかり、ローマの休日しかり。
ドラマチックな関係性なわけです。

  • ラブストーリー的要素

ラブストーリーにおける重要な要素の一つとして、出会いと別れがあります。

アリエッティと翔も、何度も出会いと別れを繰り返しています。

そしてもう一つ重要な要素は、ときめき=胸のドキドキです。

この物語におけるときめきは、恋愛のドキドキというより、アクションやスリルのドキドキに置き換わっています。

人間に見つかってはいけない→見つかっちゃった!=出会いのドキッ

お母さんが捕まった!→捜して助けなきゃ!=二人で共有するドキドキ

 

  • クライマックス

二人でドキドキした後、別れます。
翔は、アリエッティ達がいた痕跡を消し、ドールハウスを元に戻し、もうアリエッティはここに戻らないことを認識します。
アリエッティ家族は、スピラーの助けで、新たな地へ旅立とうとします。

今生の別れになるかというその瞬間、これまで敵対(?)してた猫のニーヤの粋な計らいによって、アリエッティと翔は最後の再会を果たします。
そのシーンがクライマックスになっています。

翔は角砂糖を渡し、アリエッティはそれを受け取ります。
それによって、二人の関係性の変化が表現されます。

そして互いに気持ちを伝えあいます。
ラブストーリーにおける告白シーンととることができます。

最後、二人は別れます。
別れで終わると、せつない物語になります。
ただ、翔は生きる勇気を得て、アリエッティは、エンディング映像でもわかるように、新天地への希望を抱いています。
なので、せつないながらも希望が抱ける締めになっているといえます。

総括として

ラブストーリーなのに恋愛的ドキドキがない。

アクション、スリルはあるのに構造がラブストーリーになっている。

なので、どちらをとっても、ちょっと物足りない感はあったように思います。
でも、盛り上がりもあって、観終わった感も悪くないので、構成はきちんと押さえられていると思います。
キャラクターもかわいいし、描写もおもしろいので、感想としてはなんかほんわかしていいなーと思える作品、でした。

※あくまで自分はこう観ましたってお話なのであしからず

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