【分析】市民ケーン(1941)【映画】

【分析】市民ケーン(1941)【映画】
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概要

大富豪のケーンが「バラのつぼみ」という言葉を残して死んだ。
記者が言葉の謎を追って、関係者からケーンの話を聞きだしていく。
構成が凝っていて、いろんな関係者の証言によって、コラージュのようにケーンの人物像が浮かび上がってくる。
構成や斬新な映像表現から、映画史における名作として評価が高い作品。
監督・製作・脚本・主演はオーソン・ウェルズで、彼の監督デビュー作でもある。

感想

映画の説明を聞いたとき、これ絶対自分の好きなやつだ、と思った。

でも最初に鑑賞した印象は、正直微妙だった。
けっこう古いDVDだったのか、縦書き白字でかつ漢字が旧字(略字?)の字幕が読みにくくて、登場人物も誰が誰なのか、関係性は何なのか、よくわからなくて、ちょっとしんどかった。

観終わってから、映画情報を調べて、ああそういうことかとざっと理解してから、2回目を観た。
そしたらなんとまあ、おもしろいこと!
よくできてるなぁと感心してしまった。
映像表現もおもしろく、おしゃれなところもあり、たしかにこれは当時斬新だったろうなと思った。

なにより、初回微妙な印象だったものの、2回目に観たときに確かにこれは名作だと、そのおもしろさを感じ取れたことが嬉しかった。

ちなみに、この映画は実在のメディア王・ハーストという人物をモデルにしており、映画監督オーソン・ウェルズとハーストとの対立を描いた映画もあるらしく、そっちも観てみたい。


※以下ネタバレ注意

分析内容(もくじ)

・10~15行であらすじ
・3行でまとめてみる
・バラのつぼみとはなんだったのか
・描かれている構図を抽象化してみる

10~15行であらすじ

新聞王で大富豪のケーンが「バラのつぼみ」という言葉を残して、孤独のうちに死んだ。
記者たちは、ニュースでは伝わらないケーンの人物像を探るため、そのカギとなる「バラのつぼみ」の謎を追って、ケーンの関係者たちに話を聞いていく。
ケーンは、幼少期に莫大な財産を引き継いだことによって、親元を離れ後見人の銀行家によって育てられた。
仲間と共に新聞社を経営し、センセーショナルな内容で部数を伸ばした。
大統領の娘エミリーと結婚し、知事選に出馬するほどの勢力があったが、逢瀬を重ねていた歌手スーザンとの関係をすっぱ抜かれ選挙は落選、エミリーも去っていった。
離婚後はスーザンと結婚し、彼女のためにオペラ劇場を建てるが、才能のない彼女のオペラの評判は非常に悪く、彼女も歌うことは望んでいなかった。
自殺未遂を計った彼女を、自身の宮殿に幽閉していたが、ついには彼女にも去られてしまう。
記者たちは、いかにケーンが孤独であったかを知るが、バラのつぼみ自体には意味はないものと結論付けた。
しかし、彼らの知らぬところで、バラのつぼみと書かれている橇が、他のガラクタと共に処分されていた。

3行でまとめてみる

新聞王で大富豪のケーンが「バラのつぼみ」という言葉を残して、孤独のうちに死んだ。
記者たちは、ニュースでは伝わらないケーンの人物像を探るため、そのカギとなる「バラのつぼみ」の謎を追って、ケーンの関係者たちに話を聞いていく。
記者たちは、いかにケーンが孤独であったかを知り、バラのつぼみ自体には意味はないものと結論付けたが、彼らの知らぬところで、バラのつぼみと書かれている橇が、他のガラクタと共に処分されていた。

バラのつぼみとはなんだったのか

具体的には、少年ケーンが持っていた橇に描かれていたのが、バラのつぼみの絵と文字であった。
これとセットになって登場しているのがスノーグローブ。
これらから導かれるのは、彼の故郷であり、母親との別れ。
親元を離れた(最初の?)クリスマスで、プレゼントにケーンはそれまで持っていたのと同じバラのつぼみの橇をもらっている。
思うに、雪の積もらない都会で、橇なんてもらってもしょうがなかったのではないか。
欲しいのは橇じゃなくて、橇で遊んでいたあの頃なんじゃないか。
欲しいのはこれじゃない感、お金では与えてもらえないもの、母の愛、ではないか。
そういったものの象徴なのかなと思った。

そして、スーザンが出て行ったとき、すなわちどん底の状況で、荒らした部屋の中でスノーグローブを見つけた彼は、自分がいままで与えてきたもの、買ってきたもの、がまさにバラのつぼみの橇であったと気付いたのかもしれない。
愛されたくて、愛したけれど、欲しい愛は手に入らず。
それが自分にとってどういうものなのか。
それに気付いたからこそ、今わの際までスノーグローブを持っていたのではないだろうか。

描かれている構図を抽象化してみる

主人公は、幼少のころに「ギフト」を得たがその代償に「ロスト」した欠落がある。
ギフトによって力を得るが、その力ではロストは埋められない。
ついには多すぎるギフトの中で、ロストを求めても得られず、孤独に死ぬ。

ロストを象徴しているキーワードがある。
映画では、このキーワードを鍵にして、第三者が主人公の人物像を探っていく。各人の証言によって、人物像とギフトとロストが明らかになっていく。

このお話において、ギフトは自分で求めたわけではないものであり、母から子へと受け渡されたものであるところ。
そして母は子を思ったからこそ別れる選択をしたが、結果それが子側にとっての大きなロストになってしまった。
なんともせつない構図。

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