投票箱をかぶって渋谷で投票を呼びかけようとした話~地味ハロウィン2021

投票箱をかぶって渋谷で投票を呼びかけようとした話~地味ハロウィン2021
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2021年の地味ハロウィン。
この年のイベント開催日である10月31日は、奇しくも衆議院選挙の投開票日でもあった。

それにあやかって、今回の仮装はこうなった。


△「投票箱と投票立会人」

投票箱の中の人はうちの奥さんで、2年ぶり3回目の奥さんとのコラボ仮装となっている。

で、実は今回、地味ハロのイベント前に、とある大義名分のもと会場の外でも仮装を行っていた。


△渋谷のハチ公前広場にて

というわけで、何がどうしてこうなったのかなど、今回の仮装にまつわる顛末についてお伝えしよう。

■今回の仮装の企画

2021年10月某日。
我が家で毎年恒例の、地味ハロ作戦会議が開かれた。
ネタに関して私は白紙状態だったが、奥さんから「私やりたいことあんねんけど」と打ち明けられた。

「今年ってちょうど選挙とかぶってるじゃん。だから私、大きな投票箱かぶりたいんだ

そうきたか。
しかし私はそれほど驚かなかった。

私は知っている。
うちの奥さんは、過去の地味ハロで無機物系の仮装に対して、並々ならぬ興味関心を示していたことを。

※無機物の例


「フォトショップ」(2018年)


「渋谷クアトロの柱」(2020年) 出典:https://dailyportalz.jp/kiji/jimihalloween2020_pictures

いつもいーなーと言っていたので、いつか自分も箱をかぶりたいと言い出すのではないかと思っていたからだ。

そして、この年の地味ハロは衆院選の投開票日でもあった。
滅多にないこの巡り合わせ。
自分も何かこのタイミングにあやかりたいとは思っていたのもある。

彼女は続けた。
「あと地味ハロの会場だけじゃなくて、市民に投票を呼びかけるように、投票箱かぶって街を練り歩こうよ!きっと話題になるよ!」

なんと、そこまで考えていたとは。
それだけの想い、夫として応えねばなるまい。

私が「いいよ」とあっさり答えたら、「えっ、いいの!?」と驚かれてしまった。

あなたにはタスキとかかけてもらおうと思ってたんだけど、いいの?
「お、おう。いいよ。やろう!」
「豪気やな」

逆に感心されてしまった。

「じゃあ君が投票箱になるなら、僕は投票箱を見つめるだけの投票立会人をやろうかな」
という感じで、2021年の地味ハロの仮装のテーマとビジョンが決まったのだった。


△今回やりたいビジョン(画・うちの奥さん)

■いざ工作!

投票箱を作ろう

奥さんの希望を叶えるためにも、何はともあれ被り物として成立するだけの大きな投票箱を作る必要がある。
まずは作成のイメージを高めるところから始めた。


△裏紙でイメージを膨らませる


△具体的にどのようにするかラフの設計図でイメージを詰めていく

材料集めは近所のホームセンターで。


△一番でかいサイズの段ボール箱


△段ボールと奥さんサイズ比較


△投票箱の銀色は水性スプレーを使用してみることに


△夜に外でスプレー塗装


△あれ、微妙・・・

初めてスプレー塗装したのだが、思った以上に仕上がりが微妙だった。
なので、YouTubeでスプレー塗装のコツを学んでみた。
どうやら何度も塗り重ねるものらしい。
というわけで2度塗りに挑戦。


△2度塗り!


△いい感じにメタリック!

しっかり塗り重ねたら、今度は思った以上にいい感じに仕上がって満足!

ここからさらにディテールを作り込んでいく。


△フチを銀テープで


△投票箱の角っこ付けて・・・


△「投票箱」の文字貼って・・・


△投票箱の取っ手を付けて・・・


△投票口を開けて・・・


△完成!!

結構いい感じに作れたのではないだろうか!


△のぞき穴を開ける

のぞき穴を2つ開けたら、なんか目っぽくなってかわいさがアップした。
奥さんもお気に召したようで。

長机も作ろう

次に、自分の投票立会人用の机を作ることにした。
最初は適当に画板でも携えてお茶を濁そうと思ったものの、なんか“ぽさ”がでないなと思い、よく見かける長机を再現することにした。


△画板に段ボールを貼って立体感を作る


△長机の木目を印刷した紙を貼って・・・


△完成

あと、ネームプレートとかの小物はハンズで買っていたので、それらを用いたらバッチリ。


△投票立会人に最適なフォントを選ぶ(上から3つ目を採用)

投票用紙も作っちゃおう

奥さんもこだわりを発揮していた。
当日会場でみんなに投票してもらえるようにと、うそっこ投票用紙を作成していた。


△ちゃんと小選挙区と比例代表の2種類あり

---

てな具合で、あらかた工作が完成したのが、地味ハロ前日の夜だった。

奥さんのこだわり

奥さんにもこだわりがありまして。
・投票箱からはみ出している足の部分は妖怪っぽくしたい
・地下足袋を履くべき
・地味に祭っぽくしたい

そんなわけで、私が投票箱を作っている間、奥さんは衣装を用意していた。


△投票箱の精

■前夜のバタバタ

予行練習

今回のビジョンは、ただ地味ハロイベントに参加するだけでなく、投票日当日の渋谷の街を練り歩いて投票を呼びかけよう、というものだった。


△イメージ再掲

なので、その行動をシミュレーションしておくべく、工作が終わった夜に、投票箱を持ってアパートの外へ出てみることにした。

---

事前に用意しておいた簡易な台車に投票箱を慎重にくくりつけ、アパートの階段を奥さんと二人でおろした。
外は街灯の明かりが点々としているくらいの暗さで、車も人通りもほぼない状態。
アパートの前の通りで、投票箱を台車からおろす。

で、このときふと「この台車ってこのあとどうすんだ?」ということが気になった。


△台車こんなの

一応折りたためるけど、折りたたんでそのまま持ち歩くのか?それともどこかにしまう?どこに?
いきなり本題じゃないところで悩み出してしまった。

とりあえずそれは後で考えるとして、奥さんに投票箱をかぶせて外での装着具合を確認する。
アパートのまわりを、私がそばでエスコートしながら軽く歩き回ってもらう。
わりと歩けるようだ。


△奥さん的にも、意外と大丈夫とのこと

夜とはいえ、時折人が通るのだが、すれ違うとき確実にこっちを気にしているのがわかった。
それに対して私は投票箱に集中しているように振る舞ってみせていたのだが、心臓はバクバクしていた。

なんだこれ、めちゃめちゃ恥ずかしいぞ!

ここ数年で感じたこと無いような恥ずかしさにさらされていた。
いまさら気づいたのが、これって投票箱かぶってしまっている中の人よりも、投票箱の外にいる私の方が生身として視線にさらされるじゃん。

これはヤバい。
とてもじゃないが、タスキもかけてみようという余裕はないぞ。

ひとまず箱はかぶっても歩けそうということは確認できたので、そそくさと撤収した。

恥ずかしくないアピールとは

部屋に戻って明日の作戦を練り直すことにした。
台車どうするか問題については、でかめのトートバックに入れられそうだったので、なんとかなりそう。
ただ、タスキは無理や・・・

とはいえ、こんなもの作っておいて投票呼びかけ活動をしないわけにもいかぬ。
なんかそれほど恥ずかしくなくてアピールする方法はないものか…

とか考えていたら、たまたまこんな新聞記事を見かけた。

「投票所はあっち→」ボード掲げて政治参加呼びかけ ネットを通じて各地に活動が広がる
https://www.tokyo-np.co.jp/article/138855

そう!こういうやつ!

こちら、「投票所はあっちプロジェクト」というらしい。
サイトなど調べてみると、フリーで使える投票を呼びかけるポスターが公開されていた。

よし、これを使おう。
ポスターを投票管理人の机の裏に貼っておけば、それを掲げるだけでもアピールできそうだ。

ところで明日の天気って

ふと気になってしらべてみたところ……


△雨!?

完全に晴れるだろうと思いこんでいた。
降り具合によっては、今までの苦労は無駄になるのではないか……

もはや疲れすぎて考えられなくなったので、この日は寝ることにした。

■当日の朝

零票確認と投票所の観察へ

一夜明けて、空は曇っていたが(まだ)雨は降っていなかった。

この日の朝はいつもより早起きをした。
目的は、朝一の投票所へ行って、零票確認をするのだ。

奥さんと一緒に近所の投票所へ行くと、おじいさんが一人入口で待っている様子だった。
先を越されたか?と思ったらどうやら関係者らしく、無事我らが零票確認の権利をゲットできた。

投票ついでに、投票所の様子をめちゃめちゃ観察した。
うむ、とても地味だ。

先に来てたおじいさんは、どうやら投票立会人だったみたい。
私もこれから投票立会人になるんですよと言いたい気持ちになった。


△川口市の投票済証にはマスコットキャラのきゅぽらんがついている(かわいい)

雨対策

昼過ぎから小雨が降り出した。
投票箱的に多少は耐えられそうだが、長時間ぬれ続けるのは避けたい。
やはり雨対策をせねばなるまい。

ということで、台所にあった大きなごみ袋2枚をくっつけて、即席の投票箱カバーを作った。
一応、カバーをしたまま投票箱を装着することは可能な仕様にしてみた。

いざ出発

投票箱を台車に固定して、いざ出発。


△移動中のエレベーター

駅まで歩き、地下鉄で渋谷へ向かう。
渋谷に近づくにつれ、徐々に乗客は多くなり、こちらに向けられる視線の数も多くなった。
たまに、「あ、投票箱www」という声が聞こえた。

そうして、渋谷に到着した。

■渋谷にて

さっそく取材される

日曜午後のハチ公前広場。
当たり前だが人がいっぱいいる。

さて、どこで投票箱を装着すべきか。
逡巡するも、ほどよい物陰などないので(あたりまえ)、地下街への階段の脇で、荷物をほどく。

奥さんが投票箱をかぶって早々、TVクルーの人に声をかけられた。

どうしてこの格好しているのか?とか、選挙行きましたか?とかいう質問を受けた。
(この格好で行ってないわけない)
投票箱をかぶった奥さんが受け答えをしたのだが、箱の中でマイクをもって話していた。


△インタビューされてるの図(画・奥さん作)

なかなかシュールだ。

ほかにも、信号待ちをしているところで、新聞記者の人にも取材を受けて、こちらは私が受け答えした。

すごい。
投票箱のインパクトはバッチリかも。

目指していた絵面

さあ満を持して、投票をアピールすべく、ハチ公前広場のあちこちで、ボードを持った投票箱に立ってもらった。

この違和感!このシュールさよ!
この画が撮りたかった!

近くを通る人は、皆目を向けていくので、とても目立ってはいる。
ただ、残念ながら、自分以外に写真を撮ろうという人はいなかったので、どこかで話題になることはなかっただろう。

投票アピールについては、結局無言でたたずむだけなので、アピール力には乏しかったと思われる。

もっと自分が声出したらよかったのかもと思ったものの、すまん、やっぱ恥ずかしくて、アテンドするのが精一杯だった……

それでも、この画を撮れただけでも結構満足だった。


△GIF動画でもどうぞ

■地味ハロ会場にて

さて、メインの地味ハロイベントはというと。

やはり選挙ネタ仮装をやる人は結構いた。


△零票確認している人


△駅前に立っている本人と投票箱と新人候補者

いつもは他の人とネタがかぶらないよう意識するのだけど、今回は逆で、同じジャンルの仮装の人がいたらうれしくて、お互い写真を撮りあったり、一緒に撮影したりして楽しんだ。


△投票箱3種そろい踏み

会場では、奥さん作の投票用紙も大変評判がよくて、いろんな人に投票してもらえた。

 
△本日2回目の投票体験を提供した

■後日談

本家デイリーポータルZの記事でも載せてもらいました。

地味ハロウィン2021 リアルイベントレポート
https://dailyportalz.jp/kiji/jimihalloween2021_eventreport


△ここまで撮られていたとは・・・


△リアルな帰りの様子

あと、なんと日経新聞に記事が載ったのだ!

ハロウィーン仮装客まばら 感染再拡大懸念、警戒も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE312YF0R31C21A0000000/

この日は衆院選の投開票日も重なり、埼玉県川口市の男性会社員(38)の妻(39)は銀色の箱をかぶった「投票箱」姿。男性はスーツで「投票立会人」を表現し「今日は朝一番で投票してきた。きちんと国民の方を向き、事実に基づいて広く議論をして決める政治になってほしい」と話した。

「埼玉県川口市の男性会社員(38)の妻(39)は銀色の箱をかぶった「投票箱」姿。」

地味ハロを知らない人からすると、まったくわけがわからないのではないだろうか。

■所感と反省

今回は選挙とからめて、地味ハロから飛びだそうという企てはしたものの、実際にやってみてちょっと企画力の甘さとかが出てしまったなという反省がある。

ただ、街中で仮装するのは楽しいというのはわかった。
特に違和感のある画が撮れるのがとても魅力であった。
渋谷に限らず、ハロウィンで仮装して盛り上がるというのは、実は陽キャも陰キャも関係なく、本質は同じなのではないだろうか。
(公の場でのコスプレがどこまで許容されるのか問題にも関わってくるので、楽しければいいというものでもないと思うが)

工作については、投票箱はいい感じに作れたので、結構満足しているし、やり切った感がある。
奥さんにも喜んでもらえたのでよかった。

イベントについては、行動に制限がかかるような仮装って、イベント会場で交流しづらくなっちゃうなという気づきを得た。

―――

というわけで、なんやかんやで2021年の地味ハロも楽しんだ。

もちろん、2022年も地味ハロるぜ!
ではまた来年~ノシ

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