この日散歩して見ていたのは何だったのだろうか

この日散歩して見ていたのは何だったのだろうか
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3月の3連休初日、この日はとても天気が良かった。
年明けからずっと忙しかった仕事にようやく一段落ついた開放感もあったので、とにかく外に出たかった。
コロナ禍の昨今、どこかへ誰かと出かけるのは憚られるが、一人で近所を散歩するくらいはいいだろう思い、せっかくなのでカメラを持って出かけた。

カメラを持っていると、いつもの散歩のときよりもいろんなものが気になってシャッターを押してしまう。
そんなわけで、街で見かけた気になったあれやこれやを紹介したい。

街で見かけたもの

年季の入った建物が好きだ。
こちらはたぶんもうやってないクリーニング屋さん。
紺屋の白袴」という言葉を思い出した。

近所にあるいつも行列のできるラーメン屋さん(の裏側)、、、

の屋根の上にある室外機。よく見ると全部型式違うぽいな。
なんか屋根の上にあるものって気になるのだ。

通りかかったマンションの入り口。
もうね、私くらいになるとこの瞬間にピンとくるわけですよ。

画像5

そうだね水道工事マグネットだね。

路上園芸。
春の陽光に照らされて生き生きしている。

多肉植物の多肉感よ!なんか艶めかしい……

いろいろ“ある”なと思って撮った一枚。
でも見る人によっては取り立てて何も“ない”のかもしれない。

すごい凝った装飾が施されている入口の柵。

これはマンションかしら?なんかパーティーでもやってそうな雰囲気。

実は入口だけでなく建物全体が凝った造りになっている。

屋上へつながる外階段のそこはかとないトマソン感よ。

屋上には東屋があるようだ。

反対側は平べったい。

窓のリズム”。
窓の配置や大きさでなんかリズムとか音階とか表せそうだなと思ったら、他にもこういうのないか気になりだした!
よし、集めてみよう。

ハモリつつ強弱がある感じだ。

メーターも含めて結構なリズム感があるな。

小窓の二重のハネ具合が良い。

タララン♪て感じがする。

窓のリズムはこれからも探してみたい。

ゾンビ化した植物に窓から侵入されそうになってるような感じ。

「※通報します。」にただよう家主の本気。

気になる屋上シリーズ。

外階段とか八木アンテナの要素として好きなのと、さらに柵とかの格子の重なりやごちゃっとした感じに目を引かれるんだよな。

建物も気になるけど、植物も気になる。
公園の生垣の色合いに目を引かれた。

緑と赤の補色がきれいだ。
調べたらレッドロビンというらしい。

年季の入った看板。

こういうのに描かれているイラストってなかなか味わい深いものがある。
おばさん全身タイツやん。とか。自転車に乗ってる絵って描くの難しいんだよね。

たまたま見つけたこちらのお店。一瞬、美容室とか喫茶店とかかなと思ったけど、のぼりを見てラーメン屋であることに気づいた。
立地的に、冒頭で紹介した行列のできるラーメン屋のすぐ裏手にある。

ほどよくお腹が空いていたので入ってみることにした。

このときお客は誰もいなかった。立地のせいか、端に時間帯のせいかわからないけど。

いろいろメニューがあったけど、とりあえず一番ベーシックなしょうゆラーメンを頼んだ。ふつうにおいしい。というか、びっくりするくらいふつうで、まるで概念としてのラーメンを食べていたような気がする。今度は別のメニューを食べに行ってみよう。

気になるといえば、かなり以前からネオンが気になっており、気付いたときには収集している。

いつか「ネオンが気になる」という記事を書きたい。

落下した室外機に遭遇。まるで事故現場に出くわしてしまったかのような気分。もしくは、右に落ちてる石が凶器となった事件現場か。

室外機(奥)「ぐわー!」
室外機(手前)「だ、大丈夫かー!?」
室外機(奥)「うぅ、もうだめだ……」
室外機(手前)「くそっ、俺がここから動ければ……誰か助けてくださーい!」

気になる屋上といえば、給水タンクも外せない。

こっちも。でも右側は冷却塔かな。

なんかコンデンサとかトランジスタに似てるな。

(参考:コンデンサ)

よく見るとこのマンションかっこいい。

(ちょっと大山顕さんを意識してみる)

車屋さんの壁面。換気孔がずらり。
一列のレゴブロックぽい。

窓のリズムの集大成。リズムというより、もはや音階が奏でられそう。まるで窓の鉄琴や~。
ちなみにこちら整形外科。

さて、散歩の締めはお気に入りのこちら。

近所のスーパーの裏側が、プチ・プラント感満載で好きなのだ。

配管やら室外機やら縦横にぎっしり!

外階段に螺旋階段に配管のアーチもある!

どこを切り取っても絵になる。いつか絵に描きたい被写体。

以上、およそ1時間程度のお散歩だった。

果たして自分はいったい何を見ていたのか

年を重ねるにつれて、街で気になるものが増えていくので、近所の散歩でも十分楽しい。たぶんどこのどんな街を歩いても楽しめるだろう。

それにしても、自分はいったい何がこんなに”楽しい”と感じているのだろうか。改めて考えてみると、3つのポイントがあるようだ。

1つ目は、”知っている”ということ。
街にある”もの”の名前を知っていたり、見る”観点”を知っていたりすると、街を眺める解像度が上がる。私の場合はデイリーポータルZの影響が大きい。また、自分がどういうものが”好き”なのか知っていると、好きそうな景色を無意識のうちに探すようになるので、「あっ」と思える瞬間が増えていって楽しい。

2つ目は、意味や理由を想像できること。
観点に通じるけれども、街にただ”ある”ものを見て、それに介在したであろう人の意思を感じ取ってみたり、何かの”視点”でものを集めてみたり、一見関係なさそうなものの間に意味を見出してみたりすると楽しい。

3つ目は、自分の中に”熱量”が発生すること。
説明するのが難しいのだが、何かを見て「あっ」と思った瞬間に、自分の内側に熱量が発生しているような気がするのだ。街にある”もの”とその周辺の光景を見たときにそこから感じる印象と、それに反応するように想起される過去の記憶の中の印象や紐づいている感情や感覚などを、ひとまとめに感じている感覚といったらいいだろうか。このコンフリクトに湧き上がった感覚の熱量を”楽しい”と感じているようだ。

これらを踏まえてみると、自分はいったい街の何を見ていたのだろうかと思えてくる。街に”ある”ものを見ているつもりで、その実”ない”ものを見ているのだ。しかしながら、”ない”ものは”ある”ものがあるからこそ表れるのであって、”ない”ものだけを見ているわけではない。
これは”ドーナツの穴”に例えるのが一番わかりやすい。ドーナツの穴はドーナツの穴のみで存在し得ないのと同じように。

そんな、”ある”とか”ない”とかぐるぐるするようなことに思いを馳せるのが、自分にとって至福のとき。

ま、それはそれとして、散歩は楽しい。
風の吹くまま気の向くまま。

 

(2020/3/21 note「3月20日の散歩で見ていたのは何だったのだろうか」より一部加筆修正)

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