あれは今から5年前。
通勤中、銀座線は虎ノ門駅の通路に張り巡らされていた”配管”を眺めていて、ふっとひらめいた。
「そうか、わしは配管萌えなんだ!」
=====
仕事で身についていた下地
新卒で入ったのは、空調の自動制御の、メンテナンスの会社だった。
詳しい話は置いといて、ここで重要なのは、でかい建物のバックヤードは配管だらけだってことを知ったことと、ひたすら配管を眺めたり、たまによじ登ったりして仕事してたってこと。
おそらく自分の“配管の原体験”がここにある。
時は流れて、転職して新しく就いた仕事では、電気工事の見積もりや図面を見まくっていた。工事部材のひとつとして、いろんな配管を調べることが多々あって、それによって「あーあれかー」というのがわかっていった。
さらに、当時勤めていた職場は虎ノ門にあって、銀座線を使って通っていた。歴史ある銀座線は、ホームや階段や通路のあちこちで、なかなかいい感じに配管が張り巡らされている。
そんな下地があった上で、ちょうどその当時、自分の”好き”についてよく考えていたことがきっかけで、冒頭の通り、ある日自らの萌えに目覚めたのだった。
工場やプラント、レトロな建物や、路地裏とか廃墟とか、ノスタルジックな風景とかいいよな~なんて思って見ていたけど、そうか萌えていたのか。
そうか、そうなんだ……
=====
好きという気持ちを形にしなければ
自らの萌えを自覚した私は、かつてないエネルギーが満ちていた。
この好きという気持ちを形にしなければいけない。
そんな使命感に駆られてしまった。
そして、あることを決心した。
配管のイラスト本を作ろう!
=====
そこからの私は早かった。
会社帰りに駅でロケハンして、帰ってひたすら絵を描いて。
資料用で作業着を買って、そのついでにそれを自分のサークルの制服にしようと思いつき、わざわざ会社名の刺繍を注文した。
(サークル名のコンセプト(?)はこのとき生まれた)
そして、夏に思いついたその企画は、その秋のコミティアで形になって発表できた!
それまで無理して、無理矢理描いてた漫画とくらべて、すごく楽しくて手応えを感じたのだった。
ちなみに、“配管と作業着女子”というコンセプトで、配管背景に女の子を描いた本だったのだけど、実は女の子なしの差分も入れてたので、ほんとは配管だけでもよかったのかもと後から思った。
=====
そんなわけで、今ではすっかり、配管があるとほうほうと眺めたりいいねぇと言って写真を撮ったりする人になったのだった。
なお、配管にとどまらず、その後路上観察の沼に目覚めていくのだけれど、それはまたべつのお話。。。
※コミティアで頒布したイラスト本は、HPに掲載しています。
(http://y-pon2.com/gallery/)
(2019/7/4 note「配管が好きだ」より一部加筆修正)