掌編小説

  • 2018.11.24

【掌編小説】ユキさん(1451文字)(2015.12)

ユキさん   作・藤川S 黒猫が自分を見ている。一瞬わけがわからなくて、店の入り口で私は黒猫と数秒見つめあってしまった。「いらっしゃーい」店の女の子が空いてるカウンター席に案内してくれる。 ここは行きつけの小ぢんまりしたスナック。いつもいるはずのママがいなくて、代わりになぜかカウンターに黒猫が座っているのだった。 「今日、ママお休みなの。この子代理ママ。ユキさん」 紹介された黒猫のユキさんは、小さ […]

  • 2018.11.24

【掌編小説】10がつ31にち、きょうは(1657文字)(2010.09)

10がつ31にち、きょうは   作・藤川S   「まやは、おばけがみえます」 ママにいったら、「わかってるから大丈夫」といいました。 「きょうはハロウィンというひよ」 と、ママはいいました。だから、おばけがいてもおかしくないんだって。そういうものかぁとおもいました。 しょうてんがいでは、おばけとかまじょとかのかっこうをしたひとたちが、パレードをしています。まやもまじょのかっこうです。ほん […]

  • 2018.11.24

【掌編小説】ドロシーたちのたそがれ(1517文字)(2010.05)

ドロシーたちのたそがれ   作・藤川S   その日、彼女は仕事から帰ってくるなり、僕に話しかけたんだ。 「今日会社で健康診断があったんだけど、レントゲン撮ったら、なんと私の胸の中が空っぽだったの!」 あまりに唐突だったから、すぐには理解できなかったよ。 「だから、空っぽなの。何もないんだって。この中」 彼女はふくよかな自分の胸を指差した。 「空っぽって……それは機械が故障していたとか、別 […]

  • 2018.11.24

【掌編小説】キレそうなやつ(402文字)(2010.02)

キレそうなやつ   作・藤川S   彼女の前では明るくしてるけど、別にネアカってわけじゃないんだ。一人の時なんかは結構暗いんだぜ。だから、ずっと明るくしていると疲れてきちまうんだ。彼女は俺が明るくしているのが当たり前だと思っているから、それで段々とイライラしてくるんだ。 最近は、彼女が帰って来ても、すぐに明るく振舞うのはやめた。ちょっと暗い顔をして見せるんだ。すると、彼女は決まって俺に嫌 […]

  • 2018.11.24

【掌編小説】私のまんが道(1222文字)(2010.02)

私のまんが道   作・藤川S   一月十九日 西田様 先日は原稿を見て頂きましてありがとうございます。早速、その時話題になった学園ラブコメの話のネームを描いてみました。お時間ある時でよいので、ご意見をお聞きしたいです。よろしくお願いします。 F川 一月二十六日 西田様 お疲れ様です。ご指摘通り、キャラの弱さを解消するため、モノローグを使わない恋愛描写を増やしてみました。あと学園のシーンも […]